難聴の治療

昨年末から庵で突発性難聴の方の治療を担当させていただき、昨日その治療が一区切りしました。鍼灸が難聴治療に有効であることが一般にあまり知られていないので、ブログで書かせていただこうと思います。

この患者さんは70代で突発性難聴に罹患されました。急性期の服薬治療を経て症状の改善が見られず、ドクターから固定との診断を受けた直後に、私との出会いで治療がスタートしました。

10回の治療で変化が出なければ諦めるというスタートでしたが、5回目から大きな変化が現れ始め(※)、病院での検査値も良くなっていかれました。最後の13回目治療時にはスマホを無意識に罹患した側の耳で扱うまでに変化されました。

この患者さんの場合、難聴に伴って耳鳴りや頭部の違和感、QOLの低下があり、それらの要因が更なる症状改善を阻み悪循環に陥られていました。繊細な性格の方で、長期に渡る睡眠の質の低下も一つの要因であったのではないかと思われます。治療中の3ヶ月間で睡眠の質が改善し食欲も出てこられました。脈診では治療毎に脈がしっかりと力強くなっていかれました。

治療が進むにつれ顔色が良くなり笑顔が増え明るくなってゆかれました。本来お持ちである素直で可愛らしい性格(失礼!)が現れプライベートな事をたくさんお話ししてくださいました。ご自宅でのセルフケアにも積極的に取り組まれ、それと相まって症状の改善が進みました。私自身も難聴に対する鍼灸施術に大きな自信を持つことが出来た治療となりました。

都出

(※治療経過)
1回目治療後:  首の凝り・痛みがマシになる。食欲が出る。弱かった脈が強くなる。
3回目治療後:  病院での検査値に変化がみられる。自覚症状としては高音の響く感じがなくなる。高音と低音がずれて聞こえていたのがなくなり、伝わり方が同じになる。
4回目治療後:  睡眠の質が確実に良くなってきているのを感じる。試しに電話を罹患側の耳に当てて家族と会話をし、聞こえ方に変化を感じる。
5回目治療後:  治療後丸1日耳鳴がなくなる。
6回目治療後:  治療後丸3日間、強い耳鳴がなくなる。
(コンサートに出かけられ感染症に罹患。体調の悪化と共に耳鳴症状が強くなる。)
9回目治療後:  病院での検査値に変化(低音I・ Ⅱ:下がる 高音Ⅲ:保たれている)
10回目治療後:  病院での検査値に変化(低音I・Ⅱ:上がる 高音Ⅲ:保たれている)。耳鳴音の低下と共に頭部の詰まり感がなくなる。治療間隔を空け、ご自宅でのセルフケアをお伝えし開始していただく。
(ドクターから再度ステロイドの服薬提案がある。ご本人は前回の副作用の嫌悪感・症状変化のなさから迷われていたが、身体状態が以前よりも大きく変化している事を鑑みて再度服薬治療に踏み切られる。)
ステロイド服薬後:  3日間、耳鳴症状が一気に低下。前回に比べステロイド治療の副作用が大変軽く済んだ。
11回目治療後: 浅側頭動脈(耳へ血液を供給する動脈)が通る皮膚に明らかな張りが生まれる。
12回目治療後:  病院での検査値(低音I・Ⅱ:30dbまで上がる 高音Ⅲ:数値カーブが上昇)。丸7日間耳鳴のピー音がなくなる。朝にあった頭部の詰まり感が大変軽くなっている。ご自宅でのセルフケアを継続していただく。

(治療経過はご本人の許可をいただいて掲載しています。)


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